ED治療は保険適用で受けられる?条件や自己負担の費用相場を解説
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公開日:2023年08月31日更新日:2023年11月17日
これまでED治療は基本的に自由診療でしたが、令和4年から不妊治療をしている方に限り保険が適用されるようになりました。
保険適用でED治療を受けられる制度があるなら、活用したいと思う方は多いのではないでしょうか。
しかし保険適用の条件は複雑であり、病院に行って「不妊治療をしているから、保険適用でED治療を受けたい」と伝えるだけでは保険適用とはなりません。
今回は保険適用でED治療を受けるための条件について解説します。
最後まで読めば自分が保険適用となるのかどうかと、どうやって薬の処方を受ければよいのかがわかります。
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この記事の監修者
ユナイテッドクリニック総医院長
細田 淳英
【経歴】
平成15年3月 帝京大学医学部卒業平成15年5月 帝京大学医学部付属病院勤務
平成19年4月 帝京大学ちば総合医療センター勤務
平成22年4月 山王病院勤務
平成25年10月 池袋ユナイテッドクリニック開院
目次
ED治療は保険適用で処方を受けられる?不妊治療を目的とする場合に限り可能
ED治療は不妊治療を目的とする場合に限り、保険が適用されます。
そもそもEDの症状は命にかかわるものではないため、これまでは自由診療が原則でしたが、少子化対策の一環として保険適用の制度が設けられました。
日本では晩婚化が進行していることから不妊治療の件数が増加していますが、社会的・経済的要因で不妊治療を受けられない方もいます(※1)。
そこでED治療含めた不妊治療全般への取り組みとして、保険適用について見直しが行われました。
不妊治療を受けた方の70.8%が、排卵に合わせて性行為をする「タイミング指導」を受けていますが、中にはEDで性行為ができない方もいます(※1)。
EDが不妊原因の1つとなっている場合は、保険適用で処方を受けられます。
【医師からのコメント】
(※1 参考)厚生労働省|不妊治療の実態に関する調査研究
ED治療の保険適用はいつから開始されたの?
令和4年度の「診療報酬改定」で不妊治療の取扱いが改正され、令和4年4月1日からED治療が保険適用されています。
もともとは不妊治療に対して助成金が給付されていましたが、助成の費用や回数などの面で不十分といわれていました。
令和4年度のED治療含む不妊治療全般の見直しによって、国は「人々が希望するタイミングで子供を持てる社会」を目指しています。
保険適用でED治療を受けるための7つの条件
保険適用でED治療を受けるための条件を簡単にまとめると、次のようになります。
- 泌尿器科で5年以上の経験を有する医師から処方を受けること
- 他の医療機関からの紹介の場合、紹介先・紹介元で十分な情報共有があること
- ED診療ガイドラインに従いEDと診断されていること
- パートナーもしくは本人のどちらかが6ヶ月以内にED治療を受けていること
- 1回の診療で処方される錠数はタイミング法における1周期分、かつ4錠以下であること
- 投与の目安は6ヶ月間を目安とすること(1年以上の継続は不可)
- 処方箋の備考欄に保険診療である旨が記載されていること
単に「不妊治療のためにED治療薬を処方してほしい」と伝えるだけでは処方してもらえません。
保険適用されるには上記の条件を満たしている必要があるため、受診の前に一度確認しましょう。
それぞれの条件について、詳しく解説していきます。
【医師からのコメント】
全ての条件を満たすのは容易ではないため、保険適用によるED治療薬の処方は基本ハードルが高いと思ってください。
保険診療で処方を受けたい方は、まず専門の医療機関で自分が処方の条件を満たしているかを確認するようにしましょう。
1.泌尿器科で5年以上の経験を有する医師から処方を受けること
本製剤の投与を行う医師は、原則として、泌尿器科について5年以上の経験を有すること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
ED治療薬を保険適用で処方してもらうには、泌尿器科で5年以上の経験がある医師の診療を受ける必要があります。
たとえ大きな病院であったとしても、泌尿器科での経歴が浅い医師が在籍している場合もあり、担当の泌尿器科医が必ずしも保険適用で処方できるとは限りません。
もしかかりつけの泌尿器科があれば一度相談し、主治医の経験が5年未満の場合は他の医師を紹介してもらいましょう。
新しい病院を受診する場合はホームページで確認したり、電話で問い合わせたりすると二度手間を防げます。
問い合わせの際は、不妊治療ためにED治療薬を処方してほしいことを伝えるのがおすすめです。
2.他の医療機関からの紹介の場合、紹介先・紹介元で十分な情報共有があること
他の医療機関において不妊症に係る診療が行われている患者に対し、当該保険医療機関から紹介を受けて本製剤を投与する場合は、紹介元の施設と連携し、必要な情報共有を行える体制を有すること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
産婦人科医はED治療薬を処方することはできないため、ED治療の際は泌尿器科を受診する必要があります。
保険適用されるには、不妊治療の病院と泌尿器科で十分に情報共有されることが条件です。
既に他の医療機関で不妊治療を受けている場合は、ED治療薬を保険適用で処方してほしい旨を伝え、紹介状を書いてもらいましょう。
3.ED診療ガイドラインに従いEDと診断されていること
本製剤の投与に際して、関連学会が作成した勃起不全に関するガイドラインの診断アルゴリズムに従い、勃起不全と診断された患者であること。なお、その旨を診療録に記載すること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
画像引用:日本性機能学会/泌尿器科学会「ED診療ガイドライン」
不妊治療でED治療を行うには「ED診療ガイドライン」に従い、EDと診断されていることが条件です。
診断には本人の訴えだけでなく、上記画像のアルゴリズムに従った診察や検査が必要です。
注意点として、血糖値やテストステロン値の臨床検査が必要であるため、全ての医療機関でアルゴリズムに従った診断をできるとは限りません。
事前に問い合わせ、保険適用のためのEDの診断ができるかどうかを確認しておきましょう。
4.パートナーもしくは本人のどちらかが6ヶ月以内に不妊治療を受けていること
本製剤を投与される患者又はそのパートナーのいずれかが、本製剤の投与日から遡って6か月以内に、医科点数表区分番号「B001」の「32」一般不妊治療管理料又は医科点数表区分番号「B001」の「33」生殖補助医療管理料に係る医学的管理を受けていること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
パートナーもしくは本人が、6ヶ月以内に病院で不妊治療を受けている必要があります。
現在タイミング法の指導を受けているのであれば、条件は満たしていることになります。
もし不妊治療を中断していても、最終の受診が6ヶ月以内であれば大丈夫です。
元々治療を受けていた医療機関を受診し、保険適用でED治療を受けたいことを伝えましょう。
不妊治療を受けたことがない方は不妊治療の病院を受診し、不妊の原因が何であるかを特定するのが優先です。
5.1回の診療で処方される錠数はタイミング法における1周期分、かつ4錠以下であること
本製剤の投与にあたっては、その数量は、1回の診療につき、タイミング法における1周期分に限り、かつ、4錠以下であること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
不妊治療にはいくつかの方法がありますが、最初は「タイミング法」を行うケースが多いです。
タイミング法とは、女性の生理周期に合わせて排卵日付近に性行為を行い、妊娠の確率を高める方法です。
女性の生理周期は約1ヶ月なので、1ヶ月につき4錠以下の処方ということになります。
6.投与の目安は6ヶ月間を目安とすること(1年以上の継続は不可)
本製剤を繰り返し投与する場合は、投与の継続期間は6か月間を目安とすること。6か月を超えて投与を継続する場合は、継続の必要性を改めて検討し、必要と判断した理由及び初回投与の年月を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。なお、6か月を超えて投与を継続する場合も、その継続期間は原則として初回投与から1年以内とする。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
不妊治療として保険適用でED治療薬を処方できるのは、原則6ヶ月までです。
初回の処方から6ヶ月経過しても妊娠が成立しない場合は、継続の必要性を改めて検討し、必要であれば服薬を継続できます。ただし1年以上の継続はできません。
タイミング法の継続期間は6ヶ月が目安となっており、妊娠しない場合は次の治療を勧められることが多いです。
そのため、ED治療も6ヶ月が目安となっていると考えられます。
7.処方箋の備考欄に保険診療である旨が記載されていること
本製剤を保険診療において処方する場合、処方箋の備考欄に、保険診療である旨を記載すること。
(引用)厚生労働省|不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
薬が処方されるときは必ず「処方箋」が発行されます。ED治療薬を保険適用で処方する場合は、備考欄に保険診療である旨が記載されている必要があります。
処方箋は病院が作るため患者が何かすることはありませんが、もし備考欄に記載がなければ申し出るようにしましょう。
保険適用で処方を受けられるEDが治療薬の種類
保険適用で処方を受けられるED治療薬は、下記の3種類です。
- バイアグラ
- バイアグラODフィルム
- シアリス
それぞれ解説します。
1.バイアグラ
バイアグラは世界初のED治療薬で、「ED治療薬といえばバイアグラ」という認識も根強く残っています。
実績がある治療薬を使いたいという方には、バイアグラがおすすめです。
内服してから30分〜1時間ほどで効果が現れ、その後3〜5時間効果が継続します。
自由診療の場合、バイアグラ1錠(50mg)あたりの費用相場は900円〜1,700円程度です。
保険適用(3割負担)で1ヶ月分(4錠)の処方を受ける場合、薬代は計1,000〜2000円程度が目安です。
2.バイアグラODフィルム
バイアグラODフィルムは、フィルムタイプのED治療薬です。成分は錠剤のバイアグラと変わりません。
フィルムを舌の上に乗せると素早く溶けるため、水なしで飲めるのが特徴です。
30分〜1時間ほどで効果が現れ、3〜5時間効果が持続します。
自由診療の場合、バイアグラODフィルムの費用相場は1枚(50mg)あたり1,000円〜1,800円程度で、バイアグラ錠とほとんど同じです。
保険適用(3割負担)で1ヶ月分(4枚)の処方を受ける場合、薬代は計1,000〜2000円程度が目安です。
3.シアリス
シアリスは効果が30〜36時間持続し、ED治療薬の中でもっとも作用時間が長いのが特徴です。
一般的にED治療薬は満腹時に飲むと効果が下がりやすいですが、シアリスなら時間の調節をしやすいというメリットがあります。
性行為の予定があるときは、空腹時を狙って早めに服用するのがおすすめです。
自由診療の場合、費用相場は1錠(20mg)あたり1,600〜1,900円程度です。
保険適用(3割負担)で1ヶ月分(4錠)の処方を受ける場合、薬代は計2,000〜2,500円程度が目安です。
自己負担でED治療を行うときの費用相場は?1錠400円〜1,900円程度
ED治療を保険適用で受けられない場合は、自由診療となり治療費は全額負担することになります。
自己負担でED治療薬を処方してもらう際の費用相場は、下記の通りです。
費用相場(一錠あたり) | |
---|---|
バイアグラ | ・50mg:900円〜1,700円 |
バイアグラジェネリック (シルデナフィル) |
・25mg:400円〜700円 ・50mg:800円〜1,200円 |
レビトラ | メーカー都合により生産停止中 |
レビトラジェネリック (バルデナフィル) |
・10mg:1,000円〜1,700円 ・20mg:1,400円〜1,800円 |
シアリス | ・10mg:1,500円〜1,800円 ・20mg:1,600円〜1,900円 |
シアリスジェネリック (タダラフィル) |
・10mg:800円〜1,600円 ・20mg:1,000円〜1,600円 |
「少しでも費用を抑えたい」という方は、ジェネリック(後発薬)を希望するとよいでしょう。
より手軽なネット通販で買っても大丈夫?
保険適用されない場合「手軽なネット通販で購入しよう」と考える方もいるかもしれませんが、おすすめできません。
偽造薬や重大な副作用の危険性などがあるためです。
ネット通販で販売されているED治療薬は、海外から個人輸入されたものなので、国内での安全性や有効性が確認されていません。
効果がないだけならまだしも、健康被害に繋がる恐れもあります。手軽だからといってネット通販で購入するのはやめましょう。
オンライン診療を利用すれば、医師の診察を受けたうえで安全な薬を処方してもらえます。手間もかからずすぐに自宅まで届くため、ぜひ利用してみましょう。
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まとめ
保険適用でED治療薬を処方してもらうには、不妊症の原因がEDだと判断されたうえで下記の条件を満たしている必要があります。
- 泌尿器科で5年以上の経験を有する医師から処方を受けること
- 他の医療機関からの紹介の場合、紹介先・紹介元で十分な情報共有があること
- ED診療ガイドラインに従いEDと診断されていること
- パートナーもしくは本人のどちらかが6ヶ月以内にED治療を受けていること
- 1回の診療で処方される錠数はタイミング法における1周期分、かつ4錠以下であること
- 投与の目安は6ヶ月間を目安とすること(1年以上の継続は不可)
- 処方箋の備考欄に保険診療である旨が記載されていること
不妊治療としてのED治療を考えている場合は、上記を確認してから受診しましょう。
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日曜日・祝日 | 10:00~17:00 |
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