更新日: 2025/05/01


老眼治療(サンピロ点眼薬)

アンチエイジングとしての最新の老眼治療

加齢による体の老化をケアして、いつまでも若々しく長生きすることをアンチエイジングといいます。最近のトレンドとして美容だけでなく、老化に抵抗するための医療などもアンチエイジングに含まれるようになりました。目につきましては老化による老眼があり、従来は老眼鏡や老眼治療手術が一般的でした。最近では「老眼に対するアンチエイジングとしてのサンピロ点眼液治療」が行われるようになりました。

サンピロ点眼液とは

【老眼治療】

老眼治療薬には、有効成分としてピロカルピン塩酸塩が含まれます。 日本には同一有効成分薬としてサンピロ点眼液(サンピロ点眼薬)があり、緑内障の治療薬として用いられています。 また2021年には米国で、ピロカルピン塩酸塩を1.25%含有した「Vuity」(※1)という製品が老眼の最初で唯一の治療薬として米国食品医薬局(FDA)で承認(※2)され、注目されています。

この米国食品医薬局(FDA)の老眼治療薬としての承認により、老眼は、老眼鏡や手術に頼らず、「点眼薬」で症状緩和ができる時代となったといえます。なお、日本ではサンピロ点眼液は、保険診療では緑内障治療薬として処方され、自由診療では、医師の判断に基づく老眼治療薬として処方されています。

老眼とは

ぼやけて見える近視・遠視・老眼の違い

ぼやけて見えるのは、目のピント調節機能がうまく働いていないからですが、ピントが合わない原因は近視・遠視・老眼のそれぞれで異なります。

〔近視〕近視とは、外部から入ってきて水晶体で屈折した光線が、本来焦点を結ぶべき位置である網膜上よりも手前で焦点を結んでいる状態を指します。近くのものにピントが合いやすい状態となっているため、遠くのものへのピントあわせが困難です。

〔遠視〕遠視とは、外部から入ってきて水晶体で屈折した光線が、本来焦点を結ぶべき位置である網膜上よりも奥(網膜よりも後ろ)で焦点を結んでいる状態を指します。ピント調節を一切せず目をリラックスさせた状態ではっきりと見えるものは何もないので、近くも遠くも常にピント調節が必要です。何を見るにも目に負担がかかるため、疲れやすい目といえます。遠くのものにはピントを合わせ安いのですが、特に近くのものにピントを合わせるのは大変です。

〔老眼〕水晶体はその厚みを変化させて光の屈折率を調整しており、近いものを見るときは厚く、遠いものを見るときは薄くなります。水晶体の厚みは、水晶体の周りにある「毛様体筋(もうようたいきん)」によって調節されます。つまり毛様体筋が正常に働くことで、近くのものにも遠くのものにもピントが合うのです。しかし、加齢により水晶体の弾力や毛様体筋の筋力が低下することで特に近くのものを見る時に水晶体が厚くなりにくくなり、手元などにピントを合わせられなくなり、近くの文字などがぼけてしまい老眼を発症します。

老眼症状セルフチェック

次のような症状が1つでも思い当たる場合は老眼の可能性があります。

・細かい文字が見えにくい
・メールを打つ文字に誤字が増えた
・値札に書かれた金額を見間違えることがある
・夕方になると目の疲れがひどい
・夜になると細かい文字がさらに読みにくくなる
・パソコンやスマホを使用するとすぐに目が疲れる
・読書をすると頻繁に肩がこる
・細かい作業が難しくなった

老眼とスマホ老眼の違い

〈原因の違い〉老眼は40代頃から症状を自覚しますが、近年20代、30代の若い方の中に「スマホから目を離してみると遠くが見えづらい」などの症状を訴える方が増えています。一般的な老眼が加齢によって、水晶体が硬くなったり、毛様体筋の衰えたりすることによって調整機能が恒常的に低下するのに対して、スマホ老眼は、近作業(PCやスマートフォンなど)での目の酷使により、毛様体が緊張し続けた状態(調整緊張)により、ピントが一時的に上手く調整できなくなった状態です。

〈スマホ老眼の対処方法〉

・こまめに休憩を取る
・スマホとの適切な距離を保つようにする(40cm以上)
・疲れを感じたら、目を温める
・意識的に瞬きをする
・画面の明るさの調整やブルーライトカットのメガネの装用など

主な老眼治療の新旧比較

療法 点眼薬療法 手術療法 屈折装具(メガネ)療法
新旧 新しい治療法 従来からの治療法
長所 即効性・安価・メガネ不用 即効性 即効性
短所 特になし 高額・身体的侵襲リスク 眼鏡の見た目の悪さ
治療内容 サンピロ点眼液を
1日2~3回
自宅等で点眼
① 遠近両用レーシック手術
② 老眼用ICL(後房型レンズ)手術
③ 多焦点眼内レンズによるレーザー白内障手術 等
老眼の治療法・対処法は老眼鏡(「屈折装具」)です。老眼鏡を使用することで目の負担は減り、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
特徴 点眼後15分程度で視界の改善効果が現れる即効性と5~6時間の持続性が期待できます。 ① 遠近両用レーシック
② 小さなレンズを目の中に挿入することで視力を回復させる視力矯正手術
③ 遠方と近方に焦点が合う多焦点レンズの登場によって、白内障と同時に老眼を治療”
老眼鏡は安価な市販品が販売されていまが、メガネが嫌な方もいます。
費用相場 数千円/月 ① 両眼で70万円
② 両眼で100万円
③ 両眼で100万円
数万円
当院処方 サンピロ点眼液1%の取扱いあり。 身体的侵襲リスクがあり当院では取扱いなし。 取扱いなし。
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老眼治療としてのサンピロ点眼液 (※3)

(※3)→ サンピロ点眼液0.5%、1%、2%、3%、4% 添付文書

有効成分ピロカルピン塩酸塩の歴史

アメリカではピロカルピン塩酸塩を主成分とした「Vuity」(※1)という薬が2021年10月に老眼薬としてFDAに認可(※2)されましたが、日本では以前よりピロカルピン塩酸塩は緑内障治療薬としてサンピロ点眼液が処方されており、歴史のある点眼液です。なお、緑内障の診断または治療を目的として厚生労働省に承認されているため、老眼治療目的としては未承認です。しかし、自由診療においては、医師の判断で老眼治療薬として処方することは厚生労働省が認めています。

(※4)→ 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省

老眼改善効果

〔作用メカニズム〕サンピロ点眼液の有効成分ピロカルピン塩酸塩は点眼により速やかに眼内に移行し、副交感神経支配の瞳孔括約筋に直接作用して瞳孔を収縮させ、縮瞳します。縮瞳によるピンホール効果によりピントが合わせやすくなり、老眼による視界のぼやけが改善されます。このように、サンピロ点眼液は、目が本来持っている瞳孔を小さくする機能を利用して、ピンホール効果と水晶体の調節力を増強させることで、ピントを合いやすくして、遠くを見る視力を維持したままで近距離の視力を向上させることが可能になります。

〔ピンホール効果〕ピンホール効果とは、光(映像)が入ってくる範囲を小さくすることで、ものを見た時のピントが合いやすくなる現象(目を細めると、焦点深度が深くなる=見える奥行きの幅が広がる現象)のことをいいます。瞳孔がある程度小さいほど、ピントが合いやすいということです。結果的には、より遠くまで細かい文字が見える状態になります。一方、暗い場所では、ピンホール効果の逆効果が発生しピントが合いずら句なります。暗い所では光をたくさん取り込もうと瞳孔が開くので、ピンホール効果を得られず見えづらくなります。老眼になって手元が見えにくくなった時、明るくするといいのは、明るさから瞳孔が収縮するピンホール効果と、明るさによるコントラストが改善するためともいわれます。

効果の発現

健康成人に1%ピロカルピン塩酸塩を1滴点眼すると、 おおむね10分後より縮瞳が始まり、30分以内に瞳孔径は最小となり、縮瞳状態は6時間程度維持されるため、ピントの合いやすい状態が6時間程度持続します。→(※1)

用量

有効成分ピロカルピン塩酸塩0.5%、1%、2%、3%、4%の5種類があります。
当院では1%を取り扱っています。→(※3)

用法および注意点

1回1〜2滴、1日3〜5回点眼、2回目の点眼は1回目の点眼の3~6時間後に可能。
点眼し忘れた場合は、気がついたとき、すぐに1回分を点眼してください。ただし次に点眼する時間が近い場合には点眼せず、次の通常の時間に1回分を点眼し2回分を一度に点眼は禁止
・容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないよう注意
・点眼後はまばたきをせず、そのまましばらく(1〜5分)まぶたを閉じ、涙嚢部(目頭のやや鼻より)を指先で軽く押さえ、有効成分の眼内浸透を促進
コンタクトレンズを使用している場合、投与後10分経ってから装着
・点眼間隔が短くなった場合、作用時間が長くなる恐れがあるので十分な間隔をあけて使用
初めて使用する際は、外出をさけ終日見え方に異常がないか確認
複数の眼科用外用薬を使用する場合は、医師の許可を得る。併用する場合は、少なくとも5分以上間隔をあける
・点眼は感染症のリスクを避けるため、開封してから1か月後には残量があっても必ず破棄
・点眼液を他人に貸したり、借りたり、譲ったりすることは禁止
・本剤の点眼後、縮瞳(暗黒感)又は調節痙攣が起こるので、 その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転(特に夜間運転)には従事しないよう注意

特定の背景を有する患者に関する注意→(※3)

〔合併症・既往歴等のある患者様〕

・気管支喘息の患者様(気管支収縮作用により喘息発作を強めるおそれ) ・網膜剥離の危険のある患者様(縮瞳により網膜剥離を起こすおそれ)

〔妊婦 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〕子宮筋の収縮を起こす可能性

〔小児等〕小児等を対象とした臨床試験は実施していない

〔高齢者〕一般に生理機能が低下

副作用

〔重大な副作用〕眼類天疱瘡(頻度不明) 結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内 反、眼瞼眼球癒着等があらわれることがある。

〔その他の副作用〕(頻度不明) 注意事項

・眼(眼瞼炎、白内障、結膜充血、眼のそう痒感、眼刺激、 眼痛、霧視、暗黒感)
・消化器(下痢、悪心・嘔吐)
・その他(頭痛、発汗、流涎)

その他注意事項

サンピロ点眼液は日本において緑内障、診断または治療を目的とする縮瞳のお薬として厚生労働省に承認されています。老眼治療目的としては未承認のお薬となりますが、老眼治療のために医師の判断で処方することは厚生労働省が認めております。(※4)なお、万が一重篤な副作用が出た場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

サンピロ点眼液以外の当院の多角的アンチエイジング診療メニュー (※5)

当院のアンチエイジングの詳しい説明は(※5)→アンチエイジング |【公式】ユナイテッドクリニック)

分類 多角的アンチエイジング治療 従来のED治療
狭義のアンチエイジング 広義のアンチエイジング
治療 アンチエイジング治療 エクソソーム療法 衝撃波治療 陰圧式勃起補助具治療 サプリメント療法 GLP-1メディカルダイエット療法 服薬治療
機器
および
薬剤
低用量タダラフィル エクステム
(エクソソームクリーム)
レノーヴァ ビガー2020 DHEA
亜鉛
リベルサス バイアグラ
レビトラ
シアリス等
治療分野 ED
性力増進
ED・AGA
性力増進

男性美容
ED ED
陰茎増大
ED
性力増進
ダイエット
ED
ED
特徴 陰茎内血管を含む全身血管修復作用による男性性機能改善・アンチエイジング 全身の幹細胞から分泌されるエクソソームを患部に投与し衰えた細胞機能・男性性機能・頭髪を改善 衝撃波による陰茎血管新生で、血流・勃起機能改善 毎日の勃起トレーニングで陰茎増大・勃起機能改善 男性ホルモン前駆体・亜鉛による男性性機能改善 飲むだけダイエットで「肥満ED」を改善 性交時の勃起促進
療法 根治療法根本的治療。ビガーには対処療法効果もあり) 対症療法
効果
期間
長期的(ビガーは性行為時の一時的勃起の即効性あり) 一時的
併用する治療が多いほどED改善効果の向上が期待できます
服薬 不用 必要
参照 (※6) (※7) (※8) (※9) (※10) (※11)  
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参照元