プロペシアはEDの原因になる？服用をやめれば治る？改善方法も紹介

プロペシアの副作用でEDが起こるリスクは1%未満

プロペシアの副作用でEDになる可能性はありますが、そのリスクは1%未満と非常に低いことが分かっています。

臨床試験では、リビドー（性欲）減退が1.1%（3/276例）、勃起機能不全が0.7%（2/276例）の患者に見られました。

ただし、「プロペシアを飲んでEDになるかもしれない」と思い込むことで、精神的な原因によるED（心因性ED）を発症する可能性があります。

思い込みによって本来ないはずの副作用が現れることは「ノセボ効果」とも呼ばれ、まさしく「病は気から」の状態です。

プロペシアにED発症のリスクがあることは知っておくべきですが、あくまで低確率であると理解し、不安になり過ぎないことが大切です。

【医師からのコメント】

当院では薄毛治療とED治療の両方を行っていますが、実際にプロペシア服用でEDを訴える方はほとんどいらっしゃいません。

しかしながら「思い込み」でEDを発症する方はではありません。

（※1 参考）オルガノン株式会社｜プロペシア 添付文書

プロペシアによってEDが起こるメカニズム

プロペシアによってEDが起こるメカニズムとして、プロペシアが男性ホルモンの働きを抑制してしまうことが考えられます。

プロペシアは5α-還元酵素を阻害し、テストステロンがジヒドロテストステロン（DHT）に変換されるのを妨ぐことで、AGAの進行を抑制します（※1）。

ジヒドロテストステロンは脱毛因子を増やすきっかけであるものの、男性ホルモンの一つであり、勃起機能にも関与しています。

プロペシアの服用によってジヒドロテストステロンの量が減った結果、勃起機能にも影響が出る可能性があるのです。

【医師からのコメント】

プロペシアによってEDが起きるメカニズムははっきりわかっていませんが、男性ホルモンの働きを抑制することが原因でないかと推測されています。

ただしプロペシアでEDが起こるリスクは1%未満と極めて低いため、そもそも男性ホルモンを抑制する働き自体が非常に弱いのではないかと考えています。

（※1 参考）東邦大学医療センター大橋病院｜円形脱毛症と男性型脱毛症の治療

プロペシアでEDになると治らない？

プロペシアが原因でEDを発症した場合、基本的にはプロペシアの服用を中止すれば症状は改善します。

ただし、添付文書には「投与中止後も持続したとの報告がある」という注記（※1）があるため、100%治る保証がないのも事実です。

そもそもプロペシアによるEDの発症自体が1%前後しかないため、服用した人がEDを発症する可能性は決して高くありません。

プロペシアを服用する前から、EDを過度に心配する必要はないでしょう。

【医師からのコメント】

実際はプロペシアでEDになる方は稀ですので、心配しすぎる必要はありません。

過去の事例を見ても、薬の服用を中止すれば症状が改善するケースが多いです。

（※1 参考）オルガノン株式会社｜フィナステリド 添付文書

プロペシアでEDが起こったときの改善方法

1%未満とはいえ、「もしEDを発症したらどうしよう」と心配になる方もいるかもしれません。万が一プロペシアでEDを発症した場合、EDを改善するためには次のような方法があります。

それぞれ解説します。

プロペシアの用量を減らす

プロペシアの用法及び用量は通常1日1回0.2mgで、必要に応じて1日1mgまで増量が可能です。

高容量になるほど副作用も強くなる傾向があるため、もしプロペシアを高用量で飲んでいてEDが現れた場合、減量することで症状の改善が期待できます。

ただし、プロペシアを減量する際は必ず医師に相談した上で行いましょう。

自己判断で用量を変えてしまうと、本来の目的であるAGAへの効果を得られなくなる可能性があります。

プロペシア以外のAGA治療薬に切り替える

プロペシアでEDの副作用が出てしまった場合、他のAGA治療薬に切り替える選択肢もあります。

代表的なAGA治療薬の一つであるミノキシジルは、プロペシアとは異なる作用機序で働くため、EDの副作用がないとされています。

他にはザガーロやフィナステリド（プロペシアのジェネリック）などの選択肢もありますが、いずれもEDの副作用が報告されています。

プロペシアで明らかなEDの症状が出ているなら、ミノキシジル以外のAGA治療薬には注意すべきです。プロペシア以外のAGA治療薬に切り替えたい場合は、医師に相談しましょう。

（※1）オルガノン株式会社｜フィナステリド　添付文書

ED治療薬を併用する

プロペシアが原因でEDを発症した場合、ED治療薬の併用も選択肢の一つです。EDを発症した場合、治療には内服薬が推奨されています（※1）

ED治療薬は、陰茎海綿体への血流を増加させて勃起を促す働きを持ちます。

日本でED治療薬として認可されている薬は、バイアグラ、レビトラ、シアリスおよびそれぞれのジェネリック医薬品です。いずれも医療機関で医師の処方を受ける必要があります。

主な治療薬を次の表にまとめました。

プロペシアでED気味になっている旨を含め、医師へと相談してみましょう。

なお当院では、プロペシアとED治療薬のどちらも処方しております。

【医師からのコメント】

プロペシアによってEDになった場合も、ED治療薬が有効です。

プロペシアとED治療薬は併用禁忌になっていませんので、併用しても問題ありません。

実際に当院でも、プロペシアとED治療薬を同時に処方するケースはあります。

更新日：2024年11月18日 公開日：2023年08月31日

ED治療薬はどれがおすすめ？各勃起薬の効果の強さ・効果発現の早さ・持続性などの観点から解説

（※1 参考） 日本性機能学会／日本泌尿器学会｜ED診療ガイドライン第3版

プロペシアとEDに関してよくある質問

プロペシアとEDに関して、よくある質問をまとめました。

Q.プロペシアとED治療薬を併用しても、健康被害は起こりませんか？

プロペシアとED治療薬を併用しても問題はありません。

Q.プロペシア以外のAGA治療薬でもEDが起こる可能性はありますか？

プロペシアのほか、ザガーロでもEDを発症する可能性があります（※1）。

（※1 参考）グラクソ・スミスライン株式会社｜ザガーロカプセル0.1mg 添付文書

Q.プロペシアを飲み始めてから朝立ちが減った気がするのですが、副作用でしょうか？

プロペシアによってEDが起これば朝立ちも減る可能性がありますが、一概にプロペシアによるものとはいえません。

朝立ちが減少する原因には睡眠不足やストレスなど、プロペシアの副作用以外の要素も考えられます。もし朝立ちが減る状態が続く場合は、医療機関を受診しましょう。

まとめ

プロペシアによりEDを発症する確率は1%と決して高くはないので、過度に恐れる必要はありません。

また、万が一EDを発症したとしても、ED治療薬を使用するなど症状を改善する方法もあります。当院ではプロペシアとED治療薬の両方を取り扱っていますので、お気軽にご相談ください。