前立腺肥大症はEDを併発しやすい?原因と治療、改善方法を解説

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更新日:2023年11月17日 公開日:2023年10月27日

この記事の監修者はユナイテッドクリニックの細田 淳英です。

前立腺肥大症とは、名前の通り前立腺が肥大することで、排尿にさまざまな症状を引き起こす疾患です。


前立腺肥大症は排尿に関する症状だけでなく、EDも併発しやすいことがわかっています。


今回は前立腺肥大症とEDの関係や、EDを併発したときの治療や対策について解説します。


前立腺肥大症によるEDを心配している方、もしくはすでにEDを発症している方は、ぜひ最後までお読みください。

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この記事の監修者

ユナイテッドクリニック総医院長

細田 淳英

【経歴】

平成15年3月 帝京大学医学部卒業
平成15年5月 帝京大学医学部付属病院勤務
平成19年4月 帝京大学ちば総合医療センター勤務
平成22年4月 山王病院勤務
平成25年10月 池袋ユナイテッドクリニック開院

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前立腺肥大症はEDを併発しやすい

ED診療ガイドラインでは、前立腺肥大症とEDには密接な関係があるとされています。

前立腺肥大症を治療するとEDも改善されるケースが見受けられることから、前立腺肥大症がEDを併発すると考えられるようになりました。

併発のメカニズムとして、前立腺肥大症によって骨盤内の血流が少なくなることが考えられますが、はっきりと解明されていません。

また、前立腺肥大症とEDには共通する発症要因が多いことから、同時に発症しやすいとも推測できます。

【ED前立腺肥大に共通する発症要因】

  • 加齢
  • 肥満
  • 糖尿病、高血糖
  • 高血圧

(※1,2)

【医師からのコメント】

実際の外来においても、前立腺肥大症の患者様でED症状を訴える方は一定数いらっしゃいます。

前立腺肥大症によって骨盤内の血流が悪化する可能性が指摘されており、このことがEDを併発させる原因ではないかと考えられています。

(※1 参考) 日本性機能学会/日本泌尿器学会|ED診療ガイドライン第3版
(※2 参考) 日本泌尿器学会|前立腺肥大症 診療ガイドライン

前立腺肥大症によるEDを治すには

前立腺肥大症とEDを併発している場合、EDを改善するには次の方法があります。

  • 前立腺肥大症の治療を受ける
  • ED治療を受ける

それぞれの治療について解説します。

前立腺肥大症の治療を受ける

まずはEDを併発する原因となる、前立腺肥大症の治療が必要不可欠です。

前立腺肥大症の治療は生活指導と薬物治療が中心となり、それらで改善が見込めない場合は外科的治療が行われます。

治療時の注意点として、一部の薬物治療(5α還元酵素阻害薬)、外科的治療にはEDや射精障害などの性機能障害のリスクが知られています(※1)。不安な場合は受診する際、医師に相談しましょう。

(※1 参考) 日本泌尿器学会|前立腺肥大症診療ガイドライン

ED治療を受ける

前立腺肥大症の治療も大切ですが、並行してED治療も推奨されます。

ED治療にあたっては、ED治療薬(PDE5阻害薬)の使用が第一選択(※1)とされており、前立腺肥大症の方がED治療薬を服用することも問題ありません。

ED治療薬を服用すると30〜60分程度(薬の種類による)で勃起しやすい状態となるため、前立腺肥大症が改善されるまでは、ED治療薬に頼るのがいいでしょう。

また、前立腺肥大症の治療に用いる5α還元酵素阻害薬には性欲低下の副作用があるものの、ED治療薬にて勃起力の維持は可能とされています(※1)。

日本で製造承認されているED治療薬は、次の3種類です。

バイアグラ

バイアグラ

レビトラ

レビトラ

シアリス

シアリス

特徴 世界的に知名度のあるED治療薬 即効性が高い 作用時間が長い
ジェネリックの名称 シルデナフィル バルデナフィル タダラフィル
効果が現れるまでにかかる時間 30分~1時間 15分~30分 1~3時間
効果の持続時間 3~5時間 5~8時間 30~36時間
食事による影響 受けやすい
(空腹時の服用が推奨される)
やや受けにくい 受けにくい

薬の種類によって、効果が発現するまでの時間や食事による影響の受けやすさが異なります。

前立腺肥大症によってEDが生じている旨も含め、まずは医師へと相談しましょう。

【医師からのコメント】

前立腺肥大症によって生じたEDにもED治療薬は有効です。また、前立腺肥大症自体を治療することでED症状の改善も期待できます。

ただし、前立腺肥大症治療で用いられることの多いα遮断薬とED治療薬を併用すると、立ちくらみの副作用を起こしやすくなりますので注意が必要です。

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(※1 参考) 日本性機能学会/日本泌尿器学会|ED診療ガイドライン第3版

前立腺肥大症による排尿障害にED治療薬「シアリス」が効く?

シアリスに含まれる有効成分「タダラフィル」は、前立腺肥大症による排尿障害に有効です(※1)。

ただし、前立腺肥大症の治療においては「シアリス」ではなく、「ザルティア(有効成分は同じくタダラフィル)」として処方されます。

容量についても、ED治療に用いられるシアリスは10mg・20mgが中心なのに対し、前立腺肥大症に用いられるザルティアは2.5mg・5mgと低容量です。

手元にシアリスがあったとしても、それは前立腺肥大症の改善を目的に処方されたものではありません。

前立腺肥大症を改善したい場合は独断でシアリスを服用するのではなく、医療機関を受診して前立腺肥大症に適応した薬を処方してもらいましょう。

(※1 参考)松本 成史, 柿崎 秀宏| 前立腺肥大症/下部尿路症状に対するPDE5阻害薬の効果

前立腺肥大症によるEDを悪化させないために日頃からできること

前立腺肥大症もEDも、肥満や高血圧などの生活習慣病がリスクファクターになります(※1,2)。治療を続けることはもちろん、日頃から生活習慣を改善することが大事です。

前立腺肥大症によるEDを悪化させないために、日常生活において次のことに注意しましょう。

  • 水分の取り方に気を付ける
  • 食生活を見直す
  • 運動する習慣をつける
  • 冷えを避ける
  • 過度の飲酒を避ける

(※1 参考) 日本性機能学会/日本泌尿器学会|ED診療ガイドライン第3版
(※2 参考) 日本泌尿器学会|前立腺肥大症 診療ガイドライン

水分の取り方に気を付ける

泌尿器系の疾患を予防するためには、適度な水分摂取が推奨されます。

前立腺肥大症による頻尿の不安から水分摂取を控えようとする方もいますが、腎機能低下や尿路感染、尿路結石などのリスクを高めるため、日中は適度に水分を摂取すべきです。

ただし、過剰な水分摂取は頻尿の症状を悪化させる恐れがあるため注意しましょう。

※ここでいう「適度」「過剰」は症状によって変わってくるため、医師に相談してください

またカフェインやアルコールは、利尿作用により必要以上の排尿を招くため、可能な限り控えるのが望ましいです。

食生活を見直す

肥満や高血圧、高血糖などの生活習慣病は前立腺肥大症およびEDのリスクにつながるため、食生活の見直しは非常に重要です。

食事内容
高カロリーな食事 ・脂っこい食事
・ジャンクフード
・カップ麺やスナック菓子
塩分が高い食事 ・ラーメン
・レトルト等の加工食品
・味噌汁
脂肪分が多い食事 ・揚げ物
・油を多く使った料理
・洋菓子

ED予防に関しては、以下のような栄養素の摂取も推奨されています。

栄養素 多く含まれている食品の例
亜鉛 牡蠣、レバー
シトルリン スイカ、メロン
DHA・EPA サバ、サンマ
ビタミンE アーモンド、アボカド

健康的な食生活は前立腺肥大症やED以外の疾患予防においても重要なので、今日からでも心がけましょう。

運動する習慣をつける

EDや前立腺肥大症の原因となる生活習慣病を予防・改善するためにも、運動する習慣を心がけましょう。

前立腺肥大症に対する生活指導でも、長時間の座りっぱなしを避けて適度な運動を行うことが推奨されています(※1)。

有酸素運動と筋トレはEDの改善に効果があるとされており、積極的に取り組みたい運動です。

運動 期待できる効果
有酸素運動 ・血流を改善する
・脂肪を燃焼し、生活習慣病のリスクを下げる
筋トレ ・男性ホルモンの一種である「テストステロン」の分泌を促し、勃起力を向上させる
・特にスクワットは下半身の筋肉を鍛えられ、血流が改善されやすい

(※1 参考): 日本泌尿器学会|前立腺肥大症 診療ガイドライン

冷えを避ける

前立腺肥大症診療ガイドラインでは、前立腺肥大症の方は冷えを避けることが推奨されています。

入浴や運動により血行を良くして、身体を冷やさない工夫を生活に取り入れましょう。

冷え対策として、日頃から次のような習慣を意識すると冷えの予防や改善につながります(※1)。

  • 冷房を長時間使用する際は、風が直接当たらないよう上着やひざ掛けを利用する
  • 湯舟につかって身体を芯から温める
  • 冷えにより痛み、疲れを感じる部位があればマッサージや蒸しタオルを使って温める
  • 身体を動かして血行を良くする
  • 冷たい飲み物を避け、温かいものを飲む

(※1 参考)近畿大学 メディカルサポートセンター|冷房による冷えからくる体調不良について

過度の飲酒を避ける

前立腺肥大症とEDはどちらもアルコールとの関連が明確になっていないものの、アルコールの過剰摂取は避けるべきです。

アルコールの過剰摂取により招かれる生活習慣病が、前立腺肥大症やEDの発症要因となるためです。

厚生労働省の基準に基づいた、1日のアルコール摂取量の目安は以下の通りです(※1)。

前立腺肥大症によるEDを悪化させないためにも、お酒はほどほどの量をたしなむようにしましょう。

(※1 参考)厚生労働省|アルコール

前立腺肥大症とEDに関するよくある質問

ED予防のために意識したい1日あたりの節度ある飲酒量の目安

前立腺肥大症とEDについて、よくある質問をまとめました。

Q.前立腺肥大症になると性行為ができなくなりますか?

重度なEDを併発した場合は性行為ができなくなる恐れがありますが、前立腺肥大症は必ずしもEDを併発するとは限りません。

また、併発していても症状が軽度であれば性行為は可能です。

Q.前立腺肥大症は自然に治りますか?

一部、自然に改善したという報告があります(※1)。

しかし、基本的には時間の経過とともに症状は進行するため、早期の治療が推奨されています。

(※1 参考) 日本泌尿器学会|前立腺肥大症診療ガイドライン

Q.前立腺肥大症になると射精できなくなるという話は本当ですか?

前立腺肥大症の症状として射精できなくなることはありません。しかし、外科的治療や治療薬の影響で射精障害が起きる可能性はあります。

Q.前立腺肥大症を予防するには積極的に射精をした方がいいですか?

前立腺肥大症の予防と射精回数には関係が認められていません。

まとめ

前立腺肥大症によるEDを改善するには、継続的な治療と生活習慣の改善が不可欠です。また、前立腺肥大症によるEDには、ED治療薬も有効です。

当院では対面診療とオンライン診療の両方でED治療薬を処方しているので、ぜひご相談ください。

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