バイアグラとAGA治療薬(フィナステリドなど)は併用可能?EDと薄毛の両方を治療する際の注意点

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更新日:2024年05月30日 公開日:2024年05月30日

この記事の監修者はユナイテッドクリニックの細田 淳英です。
バイアグラとAGA治療薬(フィナステリドなど)は併用可能?EDと薄毛の両方を治療する際の注意点

「EDと薄毛のどちらも気になる…」

「AGA治療薬を毎日飲んでるけど、バイアグラも一緒に飲んで大丈夫?」


EDと薄毛の両方に悩んでいる場合、治療薬の併用に関する安全性が気になりますよね。


結論からいえば、健康的な状態であればバイアグラとAGA治療薬は併用しても問題ありません。


この記事では、バイアグラとAGA治療薬を併用する際の注意点や副作用について解説しています。


最後まで読めば、EDと薄毛の同時治療に対する不安を解消できるでしょう。

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この記事の監修者

ユナイテッドクリニック総医院長

細田 淳英

【経歴】

平成15年3月 帝京大学医学部卒業
平成15年5月 帝京大学医学部付属病院勤務
平成19年4月 帝京大学ちば総合医療センター勤務
平成22年4月 山王病院勤務
平成25年10月 池袋ユナイテッドクリニック開院

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バイアグラとAGA治療薬は併用が可能

バイアグラとAGA治療薬の併用は、一般的に問題ないとされています。それぞれ互いに、併用禁忌としての指定がないためです。

一般的に用いられるAGA(男性型脱毛症)の治療薬としては、フィナステリド(内服)・デュタステリド(内服)・ミノキシジル(内服および外用)が挙げられます(※1)。

これらのAGA治療薬の作用が、バイアグラの作用に影響を及ぼすことはありません。

ただし、健康状態によっては併用注意となるケースもあるため、併用を検討する際には必ず医師に相談することが重要です。

【医師からのコメント】

EDと薄毛は男性のコンプレックスを代表するものであるという背景もあり、バイアグラとAGA治療薬の両方を使用する方は一定数いらっしゃいます。

実際に当院でも、バイアグラとAGA治療薬の両方を希望される方は非常に多い印象です。

(※1 参考)日本皮膚科学会|男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

循環器や肝機能の疾患がある場合はバイアグラとAGA薬の併用に注意が必要

バイアグラとAGA治療薬を併用する場合、循環器系の疾患(心臓病・高血圧・低血圧など)や肝機能の障害をお持ちの方は服用に注意が必要です。

バイアグラとAGA治療薬には、循環器系や肝臓に関する共通の副作用が存在します(※1、2、3、4)。

循環器や肝機能の疾患がある場合、併用以前にバイアグラとAGA治療薬のどちらも服用が危険な可能性があります。

単体服用すら危険な状態で両者を併用してしまえば、重篤な健康被害を引き起こしかねません。

循環器や肝機能の疾患がある状態でEDやAGAの治療を行う際には、医師と相談を重ねた上で適切な治療法を決定しましょう。

【医師からのコメント】

循環器や肝機能の疾患がある状態でバイアグラとAGA治療薬を併用すると、相互作用により副作用が増強され、重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。

バイアグラとAGA治療薬を同時に服用する場合は、自己判断で併用しないよう注意しましょう。

(※1 参考)PMDA|フィナステリド錠添付文書
(※2 参考)PMDA|デュタステリドカプセル
(※3 参考)PMDA|ミノキシジルローション
(※4 参考)PMDA|バイアグラ添付文書

EDとAGAはどちらも加齢と生活習慣の乱れによって生じやすい

EDとAGAはどちらも加齢や生活習慣の乱れが原因となって発症するケースがあるため、両方に悩まされる方も多いです。

それぞれの疾患について、概要・発症メカニズム・治療法などを詳しく解説します。

ED:満足な性行為をするのに十分な勃起が得られない状態

ED(勃起不全)は、性行為を行うための十分な勃起が得られない、または維持できない状態を指します。

日本人を対象に行われた研究によると、40〜70歳の男性の約35%がEDの症状を示していることが報告されています(※1)。

発症の原因は、主に器質性・心因性・混合性の3種類です。

概要 発症リスクの一例
器質性ED 血管、神経、内分泌環境などの身体的な障害が原因となるED ・糖尿病、高血圧などの生活習慣病
・加齢による血流循環の悪化
心因性ED 心理的または精神的な問題が原因となるED ・不安、緊張、ストレス、人間関係、うつ病など
混合性ED 器質性と心因性が混在するED ・器質性の要因で性行為に失敗した結果、それがトラウマとなり更に勃起が難しくなる

※1、2

一般的にEDの治療では、バイアグラをはじめとするPDE阻害薬による改善を試みます。

投薬治療の他にも、乱れた生活習慣を正すことがED改善につながるケースも少なくありません。

ただし、加齢とともに血管の健康状態は悪化する傾向にあるため、中高年で発症したEDは薬に頼らざるを得ないケースもあります。

治療方針は医師の診断に基づき、患者(パートナーも含む)の希望を考慮して決定されます。

(※1 参考)日本性機能学会 / 日本泌尿器科学会|ED診療ガイドライン第3版
(※2 参考)東邦大学医療センター|勃起障害(ED)

AGA:成人男性が発症する薄毛

AGAとは「男性型脱毛症」のことで、思春期以降からゆるやかに進行する脱毛症です。

典型的な特徴として、前頭部もしくは頭頂部から広がる薄毛が挙げられます。

AGAの主な原因としては、男性ホルモンの影響・遺伝・生活習慣などが関与していると考えられています。

AGAの原因 分類 特徴
生理的・生物学的な原因 活性型男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン) ・活性型男性ホルモンDHTが、毛髪の元となる「毛母細胞」の萎縮やヘアサイクルの短縮を引き起こす
遺伝 ・AGAと関わりの深いホルモン受容体の遺伝が関与し、薄毛を発症するリスクが高まる
環境的・ライフスタイル関連の原因 ストレス ・ストレスにより自律神経やホルモンバランスが乱れ、頭皮の血行不良などを引き起こす
食事・生活習慣の乱れ ・タンパク質や亜鉛などのミネラル不足が毛髪成長を妨げる
・不規則な生活リズムによるストレスが発毛に悪影響を与える
外的要因 ・紫外線やカラーリングなどによる頭皮環境の悪化がAGAを悪化させる可能性がある

治療方針は日本皮膚科学会診療ガイドラインに従い、薄毛の程度や原因に応じて外用薬・内服薬などが選択されます。

バイアグラとAGA治療薬を併用する際の注意点

バイアグラとAGA治療薬を併用する際には、以下の3つのポイントに注意が必要です。

  • 医師に必ず相談してから併用する
  • 必ず決められた用法・用量で服用する
  • 女性がAGA治療薬に触れないようにする

それぞれ、詳しくみていきましょう。

医師に必ず相談してから併用する

バイアグラとAGA治療薬の併用を検討する際は、必ず医師に相談してから服用を開始しましょう。

両者は併用禁忌薬として指定されていませんが、それぞれが副作用のリスクを伴う医薬品であり、独自の判断で使用することで思わぬ危険を招く可能性があります。

リスクを最小限に抑えるためには、事前に医師に相談して併用の可否を仰ぐことが大切です。

【医師からのコメント】

患者さまからバイアグラとAGA治療薬を併用したいという希望があった場合、高血圧や心臓病の有無、肝機能障害の有無を問診し、問題がないことを確認してから処方を行なっています。

必ず決められた用法・用量で服用する

医師の指示に反した服用方法は、副作用が強く現れるなどのトラブルを引き起こす危険があります。

「より勃起力を高めたい」「薄毛改善の効果を高めたい」といった理由で、指定された用量以上を服用するのは厳禁です。

医師の指示に従うことで、治療効果を最大限に引き出しつつ、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。

女性がAGA治療薬に触れないようにする

AGA治療薬は胎児の発達へ影響を及ぼす可能性があるため、妊婦や妊娠の可能性がある女性には禁忌とされています。

薬剤は皮膚から成分が吸収されるため、口に入れずとも触れるだけでもリスクがあります。

妊娠の有無に関わらず女性がAGA治療薬に触れないよう、取り扱いには充分な注意が必要です。

バイアグラの副作用で抜け毛が起きる確率は0.1%未満

ED治療薬として広く使用されているバイアグラには、副作用として脱毛症が報告されていますが、確率は0.1%未満と非常に稀なものです(※1)。

ただし、確率が低いとはいえ個々の健康状態や体質によっては影響が強く現れる場合があります。

バイアグラを服用してから抜け毛が増えた、毛髪が薄くなってきたと感じる場合は、医師に相談してAGA治療薬の使用を検討することをおすすめします。

(※1 参考)PMDA|バイアグラ添付文書

AGA治療薬の副作用でEDが起こる確率は3%未満

AGA治療薬の副作用に勃起不全がありますが、確率は1〜3%程度です(※1)。

フィナステリドの臨床実験では、偽薬(プラセボ)をそれぞれ投与した際に、フィナステリドの服用による性機能障害が見られたものの、統計的に有意ではなく偶発的なものと考えられています(※2)。

研究や論文によって報告されている数字にばらつきはありますが、決して高い確率で起こる副作用ではありません。副作用に不安がある方は一度医師に相談するのがよいでしょう。

(※1 参考)スカルプD|AGA治療薬の副作用で勃起不全になる可能性は?
(※2 参考)日本皮膚科学会|男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

バイアグラとAGA薬についてよくある質問

バイアグラとAGA治療薬についてよくある質問をまとめました。

Q.バイアグラの副作用で生じた脱毛症に対し、AGA治療薬は有効ですか?

バイアグラの服用で脱毛症が発生した場合、AGA治療薬の併用で症状の改善が期待できます。

ただし、そもそも薄毛が進行している原因がバイアグラの副作用によるものとは限らないため、まずは医師の診察を受けることが大切です。

Q.AGA治療薬の副作用で生じた性機能障害に対し、バイアグラは有効ですか?

AGA治療の開始後に現れた性機能障害に対し、バイアグラによるED治療は有効です。

ただし、バイアグラはあくまで勃起を促す薬であり、性欲減退を改善する効果はない点に注意が必要です。

Q.AGA治療薬はバイアグラの効果を弱めますか?

AGA治療薬のメカニズム的に、バイアグラの効果を弱めることはありません。

まとめ

バイアグラとAGA治療薬は、互いに併用禁忌薬として指定されていないため、併用が可能です。

しかし、副作用の発生リスクには個人差があるため、同時治療を希望する場合は医師への確認が不可欠といえます。

バイアグラとAGA治療薬の併用で特に注意が必要なのは、循環器系の障害や肝機能の障害をお持ちの方です。

各治療薬の副作用が相加作用として現れ、重篤な症状を引き起こす可能性があるため、併用を検討する際は必ず医師に相談してください。

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