EDの原因とは?急になる理由や病気との関連を医師が解説
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更新日:2024年10月01日 公開日:2023年07月28日
EDの原因は複雑であり、さまざまな要素が関与しています。そのため、まずはEDの原因を知り、適切なアプローチで解決していくことが大切です。
今回はEDにお悩みの方に向けて、EDの原因やEDを引き起こす病気について解説します。自分のEDの原因を見つけ、EDの予防・改善にお役立てください。
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この記事の監修者
ユナイテッドクリニック総医院長
細田 淳英
【経歴】
平成15年3月 帝京大学医学部卒業平成15年5月 帝京大学医学部付属病院勤務
平成19年4月 帝京大学ちば総合医療センター勤務
平成22年4月 山王病院勤務
平成25年10月 池袋ユナイテッドクリニック開院
目次
EDの原因は大きく4つに分かれる
EDは原因によって、大きく以下の4つに分かれます。
- 器質性ED|血管や神経の問題が原因
- 心因性ED|不安や過去のトラウマが原因
- 混合性ED|器質性と心因性が複合
- 薬剤性ED|薬の副作用が原因
それぞれ、詳しくみていきましょう。
器質性ED|血管や神経の問題が原因
器質性EDは、血管や神経など身体面の問題によって起こるEDです。
勃起は陰茎に十分な量の血液を流入させる必要があるため、血管や神経の健康状態が悪いと、勃起が起こりにくくなったり、持続時間が短くなったりします。
器質性EDの原因の多くは生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)です。そのため、生活習慣病のリスクが高まってくる40~60代以降に多くみられます。
心因性ED|不安や過去のトラウマが原因
心因性EDは心理的な要因によって起こるEDです。
ストレスや不安、プレッシャー、過去のトラウマなどによってEDが起こります。10~30代の若い男性のEDは、心因性EDであることが多いです。
また、うつ病や不安障害などの精神疾患によるEDも心因性EDに分類されます。
混合性ED|器質性と心因性が複合
混合性EDは、器質性EDと心因性EDが組み合わさって起こるEDです。
混合性EDでは、器質性EDと心因性EDの両方が相互に影響しあって、悪循環を引き起こすことがあります。
たとえば、器質性EDで性行為に失敗し、その体験が不安やトラウマとなって心因性EDを引き起こすケースです。
混合性EDの治療は、薬物療法や生活習慣の改善に加えて、心理療法も併用する総合的なアプローチが必要になります。
薬剤性ED|薬の副作用が原因
薬剤性EDは、特定の薬の副作用によって起こるEDです。
以下の薬は、副作用としてEDを引き起こす可能性があるとされています。
薬剤の種類 | 薬剤の例 |
---|---|
抗うつ薬 | セレトラリン、エスシタロプラムなど |
高血圧治療薬 | プロプラノロール、アテノロールなど |
AGA治療薬 | フィナステリド、デュタステリドなど |
もしEDの症状が薬剤の使用と関連していると考えられる場合は、自己判断で薬の量や種類を変更する前に、必ず医師や薬剤師に相談してください。
【医師からのコメント】
急にEDになることはある?考えられる原因2つ
ケースとしては少ないものの、急にEDになることもあります。
考えられる原因は以下の2つです。
- 初期症状に気づかなかった
- 性行為に失敗して不安が心に刻まれた
それぞれ詳しくみていきましょう。
【医師からのコメント】
初期症状に気づかなかった
器質性EDの場合、いきなり勃起できなくなることは少なく、通常は徐々に勃起力が失われていきます。
しかし、そもそも性行為の機会が少なければ、勃起力の衰えには気づけません。
久しぶりに性行為をした結果、知らぬ間に器質性EDが進行しており、「急にEDになった」と感じることもあるでしょう。
性行為に失敗して不安が心に刻まれた
心因性EDは器質性EDとは違い、急に発症するケースがあります。
よくあるのは、性行為の失敗です。
一度失敗を経験した結果、「次も失敗するかも…」「また失敗したら、相手に失望される」と不安が大きくなり、性行為になると勃起できなくなる可能性があります。
EDの原因となる悪習慣4つ
以下の生活習慣は、EDを発症・悪化させる原因になると考えられています。
- 運動不足
- 乱れた食生活
- お酒の飲み過ぎ
- 喫煙
それぞれ、詳しくみていきましょう。
【医師からのコメント】
特に運動不足と乱れた食生活は、動脈硬化のリスクを高めてED症状に直結するため注意が必要です。
運動不足
運動不足は、EDのリスクを増加させるリスクファクターとされています(※1)。
運動不足は心血管機能を低下させ、勃起に必要な血液の流れを妨げてしまうからです。
さらに、運動不足は肥満やメタボリック症候群につながることが知られています。
米国の研究によると、肥満(BMIが30kg/m2以上)の人は、普通体型の人(BMIが23kg/m2以下)に比べて1.7倍EDになりやすいと報告されています(※2)。
(※1 参考)日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED診療ガイドライン
(※2 参考)A prospective study of risk factors for erectile dysfunction
乱れた食生活
乱れた食生活はED(勃起不全)の原因となる可能性があります。
栄養不足は、勃起に必要な身体の血管機能や神経伝達に悪影響を及ぼすからです。
また、ジャンクフードやスナック菓子などの高カロリー・高脂肪食は、動脈硬化のリスクを高めることが知られています。動脈硬化は血液の流れを妨げ、EDの原因となります。
お酒の飲み過ぎ
飲酒は「ED診療ガイドライン」にてEDのリスクファクターとはされていないものの、過度な飲酒を続けるとEDにつながる可能性は十分にあります。
過度の飲酒は肥満につながり、脂質異常症や高血圧などの生活習慣病リスクを高めるからです。
脂質異常症は血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が異常に増加している状態で、血管内壁に脂質が蓄積されることにより動脈硬化を進行させます(※1)。
また、高血圧は血管を収縮させて血液の流れを制限するため、陰茎への十分な血流が得られず、EDのリスクを高めるとされています(※2)。
(※1 参考)MSDマニュアル|脂質異常症
(※2 参考)日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED診療ガイドライン
喫煙
喫煙はEDの原因のひとつとされています。
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があり、陰茎への血液流入が制限されてしまうからです。
28,586名のデータを統合解析したメタアナリシスによると、喫煙者のED罹患率は非喫煙者の1.51倍と報告されています(※1)。
EDの原因となる病気5つ
以下の病気は、EDを招く可能性があります。
- 糖尿病
- 心血管疾患および高血圧
- 慢性腎臓病
- 男性更年期障害(LOH症候群)
- うつ病
それぞれ、詳しくみていきましょう。
【医師からのコメント】
特に糖尿病の方は難治性のEDになりやすく、低用量のED薬では全く効果が得られないケースも珍しくありません。
糖尿病
糖尿病とEDは密接な関係にあり、日本人のデータも含むレビューによると、糖尿病患者は健常者よりも10~15年早くEDになると報告されています(※1)。
糖尿病は高血糖が持続することで、血管や神経に損傷を引き起こす疾患です。
生活習慣病として知られており、遺伝的要因、肥満、運動不足などがリスク要因と考えられています。
糖尿病が血管や神経の損傷を引き起こすことはもちろん、うつ状態や不安、性欲低下といった精神的な問題も同時に抱えやすいことが、EDを引き起こす要因とされています。
(※1 参考)Erectile dysfunction in diabetes mellitus
心血管疾患および高血圧
心血管疾患および高血圧のある方は、EDを合併する頻度が高いことがわかっています。
血管の硬化や狭窄を引き起こし、勃起に必要な血液が十分流れなくなるからです。
男性121,641名を対象としたメタアナリシスによると、高血圧の方は通常の方に比べ、1.74倍EDになりやすいとされています(※1)。
また、高血圧の方はED治療薬を服用できない場合があるため注意が必要です。
(※1 参考)Hypertension might be a risk factor for erectile dysfunction: a meta-analysis
慢性腎臓病
慢性腎臓病患者4,389名を対象としたメタアナリシスによると、慢性腎臓病患者のED罹患率は70%と非常に高くなっています(※1)。
慢性腎臓病は、腎臓の機能が長期間にわたって進行性に悪化する疾患です。糖尿病や高血圧、メタボリック症候群などが発症の原因と考えられています(※2)。
慢性腎臓病によるEDは、血管や神経障害、ホルモンバランスの変化、さらには心理的要因など、複数の要因が関係しています。
(※1 参考)The impact of nocturnal hemodialysis on sexual function – PMC
(※2 参考)MSDマニュアル|慢性腎臓病
男性更年期障害(LOH症候群)
「男性更年期障害(LOH症候群)」もEDを引き起こす原因のひとつです。
男性更年期障害とは、加齢による男性ホルモン量の低下により、心身に以下のような症状が現れている状態を指します。
性的機能の症状 | ・ED ・性欲の低下 |
---|---|
身体的症状 | ・筋力や筋量の減少 ・骨密度の低下 ・体脂肪の増加 ・疲労感 など |
精神的症状 | ・抑うつ ・不安 ・イライラ ・集中力の低下 ・自己評価の低下 など |
男性ホルモン量は、40歳前後から減少していく傾向にあります。そのため男性更年期障害は、40代以降に多くみられます。
「ED診療ガイドライン」では、テストステロンとEDの関連に一定の見解はないものの、リスクファクターのひとつであると結論付けられています。
うつ病
うつ病はEDを併発しやすいことがわかっています。
国内の40~64歳の男性1,419名を対象にした研究によると、うつ症状がある方は通常の方に比べ、2.02倍EDになりやすいと報告されています(※1)。
うつ病は、興味や喜びの喪失を特徴とする心の病気です。心理的なストレスや生活の変化だけでなく、神経伝達物質のバランス変化や遺伝的要因など、複数の要素が組み合わさって発症すると考えられています。
(※1 参考)Relationships between erectile dysfunction, depression, and anxiety in Japanese subjects
EDを改善する方法5つ
EDを改善する方法は以下の5つです。
- ED治療薬を服用する
- 食生活を見直す
- 適度な運動を習慣にする
- 過度な飲酒は控える
- 禁煙する
それぞれ、詳しくみていきましょう。
ED治療薬を服用する
「ED診療ガイドライン」では、ED治療の第一選択肢としてED治療薬が推奨されています。
ED治療薬は血管を拡張させ、陰茎の血流を増やすことで勃起を促す効果があります。
代表的なED治療薬は以下のとおりです。
バイアグラ
|
レビトラ
|
シアリス
|
|
---|---|---|---|
特徴 | 世界的に知名度のあるED治療薬 | 即効性が高い | 作用時間が長い |
ジェネリックの名称 | シルデナフィル | バルデナフィル | タダラフィル |
効果が現れるまでにかかる時間 | 30分~1時間 | 15分~30分 | 1~3時間 |
効果の持続時間 | 3~5時間 | 5~8時間 | 30~36時間 |
食事による影響 | 受けやすい (空腹時の服用が推奨される) |
やや受けにくい | 受けにくい |
ただし、ED治療薬はEDを根本的に解決するものではありません。あくまで、服用した時にのみ効果があります。
EDの改善には、ED治療薬に加えて生活習慣の改善や心理的な問題の解決、基礎疾患の治療など、総合的なアプローチが大切です。
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食生活を見直す
EDを改善するには、栄養バランスのよい食生活を心がけることが大切です。
高カロリー食品や加工食品、糖分の摂り過ぎには十分注意し、場合によっては栄養士や医師のアドバイスを受けることも検討しましょう。
なお、EDの改善には以下の栄養素・食品がよいとされています。
- 亜鉛|牡蠣やレバーなど
- シトルリン|スイカやメロンなど
- DHA・EPA|サバやサンマなど
- ビタミンE|アーモンドやアボカドなど
詳しくは以下の記事で解説しています。
適度な運動を習慣にする
「ED診療ガイドライン」においては、ED患者に対する運動療法が強く推奨されています。
運動には脂肪燃焼や血行促進などの効果があり、陰茎の血流が改善されることで勃起機能の向上が期待できるからです。
週に2.5時間以上のランニングを行うことでEDのリスクが30%低下するという研究結果も報告されています(※1)。
運動習慣を身につけるためには、無理なく続けることが重要です。自分に合った運動方法やペースを見つけ、身体を動かすことを習慣化しましょう。
(※1 参考)Physical activity and erectile dysfunction: meta-analysis of population-based studies
過度な飲酒は控える
肥満や動脈硬化などの生活習慣病はEDのリスク要因とされているので、過度な飲酒は避けるべきです(※1)。
1日あたりの飲酒量は、純アルコール換算で20g程度が適量とされています(※2)。
【1日あたりの適切な飲酒量】
ビール(5%) | 500ml(ロング缶or中瓶1本) |
---|---|
焼酎(25%) | 100ml(グラス1/2杯) |
ワイン(12%) | 200ml(グラス2杯弱) |
ウイスキー(43%) | 60ml(ダブル1杯) |
※2
ただし、アルコールにはリラックス作用があるため、性行為の前に少量飲酒する程度であれば、逆に良い影響を与える可能性もあるとされています。
(※1 参考)日本性機能学会/日本泌尿器科学会|ED診療ガイドライン
(※2 参考)厚生労働省|アルコール
禁煙する
「ED診療ガイドライン」においては、喫煙者に対する禁煙指導が強く推奨されています。
禁煙を成功させるためには、自分ひとりで頑張ろうとせず、医師や周囲の人のサポートを受けることが大切です。
禁煙には強い意志と忍耐力が必要ですが、EDを改善するために積極的に取り組みましょう。
EDについてよくある質問
EDについてよくある質問をまとめました。
Q.10代・20代のEDは何が原因ですか?
10代や20代のEDは「心因性ED」が比較的多いと言われています。
心因性EDは心理的な要因によって引き起こされるEDで、ストレスや不安、プレッシャーなどが主な原因です。
Q.50代・60代のEDは何が原因ですか?
50代や60代のEDは「器質性ED」が比較的多いと言われています。
器質性EDは血管や神経の問題により引き起こされるEDで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、加齢によるテストステロン量の低下により発生リスクが高まるとされています。
Q.EDを治すのにおすすめの食べ物はありますか?
以下の栄養素・食品がよいとされています。
- 亜鉛|牡蠣やレバーなど
- シトルリン|スイカやメロンなど
- DHA・EPA|サバやサンマなど
- ビタミンE|アーモンドやアボカドなど
EDは原因に合わせた対策が大切
EDの原因は人によって異なり、改善するにはそれぞれの原因に合わせた対策が重要です。
たとえば器質性EDは、乱れた食生活や運動不足などの生活習慣によって引き起こされることがあります。改善するには生活習慣を見直し、健康状態を向上させることが大切です。
また、不安やストレスが原因となる心因性EDでは、投薬治療と心理療法を併用することが推奨されています。
自分のEDの原因がわからない場合は、まずは医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
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